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研究者インタビュー

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「なんで葉っぱは緑なの?」素朴な疑問にリモートセンシングで挑む

農業・生態系保全ユニット秋津 朋子
役職/肩書 准教授
所属 応用生物学野
学歴/経歴 筑波大学 生命環境科学研究科 持続環境学専攻 博士後期課程修了
研究
キーワード
陸域植生、リモートセンシング、環境応答
研究者情報

専門分野について教えてください

衛星リモートセンシングを使って、陸域植生の環境応答を捉える研究をしています。具体的には、衛星データから植物の光合成量を推定したり、展葉(発芽した葉が開く)・落葉などの植物季節を捉えたりしています。

そのために欠かせないのが地上観測です。現場に足を運び、葉っぱ1枚1枚のクロロフィル量や、面積・バイオマス量、分光反射率などを実際に測ります。
そして、物理的な放射伝達モデルと組み合わせながら、地上のデータと宇宙からの衛星データを結びつけるアルゴリズムを作っています。

現在の研究を志したきっかけは何ですか

子どもの頃から「どうして葉っぱは緑色なのだろう?」と、とても不思議に思っていました。勉強していくうちに光合成に必要な色素があるからだ、ということは理解したのですが、「なぜ緑色に進化したのか」という疑問への答えが、高校でも大学でも見つからないまま大人になりました。

一度は一般企業に就職し、結婚して専業主婦になり、研究から遠ざかった時期も長かったのですが、育児と介護が少し落ち着いたタイミングで「自分のためにも生きたい」と一念発起。
そして、子どもの頃からの興味関心である「葉っぱの緑」の謎を解明すべく、再び研究の世界へ戻ってきました。

そこで、植物の地上観測データを衛星の検証に活用している研究者・プロジェクトと出会い、徐々に衛星の世界でのご縁が広がっていきました。
そうしていつの間にか、宇宙からマクロに地球の「緑」を捉える今の研究に辿り着いたのです。

どんなところにやりがいを感じていますか

北海道から沖縄まで日本各地に観測ネットワークがあるのですが、自分たちで定期的に現場へ足を運んでメンテナンスしたり、データを取得したりと、なかなか泥臭い作業が必要です。でも、そうした地道な作業の先にある地上検証データが、宇宙からの広大な衛星データと結びついていくプロセスに、やりがいを感じますね。

また、「衛星」とひと言で言っても、軌道や、視野、解像度によって得られる情報は異なります。その多数のデータの中から用途に応じて最適なものをチョイスし、組み合わせるのも研究の醍醐味の一つです。

Gtechの中で他の研究とどのようなつながりがありますか

これまで私は森林や草原など、主に自然植生をターゲットにしてきました。Gtechではその視点を「農地」に移します。
そして、他の先生方が持つ微生物や土壌のミクロな専門知識と、私の衛星データというマクロな視点を掛け合わせることで、今までにない新しいアプローチが生まれるのではないかと期待しています。

また、私がこれまで地球規模での研究に使用してきたJAXAの衛星「しきさい」データに加え、日本周辺を高頻度で観測している気象衛星ひまわりデータも植生観測に組み合わせられます。
そうしたさまざまな研究ツールを最適に使い分けながら、日本、さらには東南アジアにもターゲットを広げて植生観測し、環境変動が農地に与える影響を正確に捉えていきたいと考えています。

この研究でどんな目標や使命をお持ちですか

これまで「葉っぱの緑」に力を入れて研究してきましたので、植物の「生育期」にばかり注目していました。
しかし農業分野では、イネが植えられ、収穫され、その後「ひこばえ」の時期や、来年に向けて圃場をどう管理するかなど、実にさまざまな観点が存在します。

Gtechでは、農地のエキスパートである先生方に教わりながら、これまで注目してこなかった部分にも目を向け、研究の幅を広げていきます。そこからまた新しい発見があると思うと、本当に楽しみです。

また、Gtechは農地や畑地を中心に研究するチームですが、少し区分の異なる「林業」も気候変動対策に大きく影響する分野です。衛星ならではの広い視野を活かして、そうした領域の研究にも貢献していきたいと考えています。

Gtechに関心をもっている方へメッセージ

気温の上昇や二酸化炭素の増加といった気候変動は、植物にとっては光合成がしやすくなるため、必ずしも悪いことではありません。
しかし、私たち人間にとって住みやすい環境は、私たち自身で守っていかなければなりません。そのためには、一人一人が行動していく必要があります。

「私一人がエアコンの温度を1度下げたところで変わらない」と思うかも知れませんが、想像してみてください。今、地球にあるこの酸素濃度は、太古の小さな植物たち(シアノバクテリア)が光合成を繰り返し、ほんのちょっとずつ貯めてくれた結果なのです。

ですから、皆さんもほんのちょっとの行動の積み重ねを大切にしてください。もし心が折れそうになった時には、この地球の大気を作ってくれた、植物たちの長い年月をかけた歩みを思い出してほしいですね。

学生さんに向けたメッセージ

ズバリ「諦めない気持ち」です!私は39歳の時、幼少の頃からの疑問を捨てきれず、研究の世界へ飛び込みました。
もちろん、自分の置かれている環境によって、どうしてもできない時はあると思います。お金や年齢、性別、国や地域といった環境の違いなど、できない理由はいくらでも見つかります。

でも、一度の失敗で「もう無理だ」と限界を決めないでください。結果を出すことだけが全てではありません。
「不思議だな」「面白いな」と思う心の中の小さな火を、どうか燃やし続けてください。その火さえ消さなければ、道は必ずどこかへ繋がっていくと信じています。

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