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研究者インタビュー

#07
最も身近な未知の世界「土壌」と向き合い持続可能な農業生態系に挑む

農業・生態系保全ユニット坂上 伸生
役職/肩書 准教授
所属 応用生物学野
学歴/経歴 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 環境理工学創造専攻 博士課程修了
研究
キーワード
土壌、農業の持続可性、炭素蓄積
研究者情報

専門分野について教えてください

私の専門は「土壌学」です。森林土壌や自然科学のアプローチで研究していましたが、茨城大学に来てからは、農地の分野の楽しさにも触れられています。
Gtechのセンター長である小松﨑先生や土壌微生物を研究されている西澤先生と一緒に、土壌の一般理化学性や炭素蓄積など、持続可能な農業生態系の構築のための研究を行っています。

現在の研究を志したきっかけは何ですか

子どもの頃は宇宙や地球、基礎自然科学に興味を持っていました。ブラックホールだったりタイムワープだったり、空想科学的なことも好きでしたね。
大学に入った時には地球惑星科学に興味がシフトしていたのですが、研究室選びのジャンケンの結果、たまたま入ることになったのが、「土壌」の研究室でした。

そこから大学院を経て、別の大学を経験する機会もいただきましたが、いつも自然土壌への興味を中心とした研究をしていました。 茨城大学農学部へは、インドネシア大学との国際連携教育プログラムでの特任教員として赴任したのが始まりです。その際にインドネシアの土壌をフィールドにした農地研究にも関係させていただくことができ、研究の幅が広がりました。

どんなところにやりがいを感じていますか

土壌というものは、まだまだ分かっていないことが多いので、分かったつもりになってしまっている部分を一つずつ整理していきたいという思いはあります。

例えば土の研究をする際には「無機質」の部分だけを見る必要があるため、「有機物」である植物の根っこなどを取り除くのですが、どれだけ頑張っても土のサンプルの中から植物や微生物に由来する有機物を完全に取り除くことは不可能ですから、分離しきれない、解明されない部分はあり続けると思うのです。

宇宙には絶対に人の手の届かないところがあるように、地球上でも地球のコアの中まで到達することは絶対できません。それと同じように、土壌は、私たちのすぐ足もとにあるにも関わらず、「分からないことがいっぱいある」というところがとても面白いと思っています。

Gtechの中で他の研究とどのようなつながりがありますか

Gtechでは、地球環境に係わる多様な分野の研究者が集まっています。
特に、私が研究している「土壌」と、他の先生が研究している「微生物」や「植物」との関係性は切っても切れないものです。ユニット間で連携をしながら、より深い研究を目指しています。土壌の性質を分析することで、他の研究分野が扱う生産環境や物質動態への影響評価にも貢献できると考えています。

Gtechの魅力は何ですか

私が大学生の頃は「学術融合」がはじまった時代で、大学の教員達も異分野の研究に積極的でした。当時はぎこちない融合でしたが、私が茨城大学に来てからそういった他分野との融合がますます進んでおり、様々な分野と色々なレベルの話が絡み合いながら研究が進んでいます。

特にGtechでは、色々な分野の専門家の先生と一緒に「同じ目標をもって研究できる」ことが、すごく面白いなと感じています。

この研究でどんな目標や使命をお持ちですか

Gtechが目指している「農業生態系の持続可能性の解明」に貢献することです。

農地というものは、人間の影響を大きく受けています。肥料や薬剤を与えたり、育っているものを取り出したり、雑草を刈ったり「人為」による様々な影響があるため、自然の物質循環とは違っています。そのような中で、炭素の蓄積量や土壌成分の特性などを明らかにすることで、農地の健全性を保ち、長期的な食料生産を支える基盤を整えことができるのではないかと思っています。

また、研究というものは、「明らかになってない部分に対してどういう見方ができるか」が大事だと思っています。正解を出して「片づける」という意識ではなく、様々な視点から土壌を見つめて探求していきたいです。

Gtechに関心をもっている方へメッセージ

Gtechは、環境・土壌・微生物など多様な分野が連携し、持続可能な農業の実現を目指す研究拠点です。
農業という、身近でありながら奥深いテーマを通じて環境問題や食料生産の課題に取り組んでいます。地方国立大学だからこそできる、地域に根ざした研究や教育活動も魅力の一つですので、注目していただきたいです。

学生さんに向けたメッセージ

茨城大学は研究環境がとても恵まれています。研究の設備や指導体制も整っていますので、じっくり自分の研究に向き合うことができます。Gtechという組織ももちろんですが、先生方の研究への取り組みを見ても、ポテンシャルの高さを感じます。

研究の面ではすごく狭い視点で夢中になって何かをやる時期も必要だと思いますが、色んな視点で物事を見ることを大事にしてほしいです。

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